ITプロボノは市民参加の装置になるか?

   

こんにちは。ITプロボノのさいとうです。

ITプロボノ活動を楽しんで実践する人が増え、プロボノ的な関わり方を心地よいと感じる人と良い関係性を築くNPO・地域コミュニティが増えていくことを願っています。

ITプロボノ活動は面白いけど成り立ちづらい

IT系のプロボノ活動は沼だなあ…と、いつからか実感していました。また多くの尊敬する先人たちからも、決して無理せず、自分の気持ちを大事に活動するようアドバイス頂いたりもしてきました。

わたしは2014年頃から自身の活動を「IT系プロボノ」と呼んで、(関わりの濃淡、期間は様々ですが)10団体ほどの活動に協力してきました。

自称しているだけなので厳密な定義はありませんが、プロボノと呼ばれるNPOなど非営利組織への関わり方として主流の士業やデザインのような分野ではなく、非営利活動の業務系IT、団体運営・事務局業務などバックヤードの課題に関わる活動スタイル…といった意味合いを意識しています。

やればやるほど深みにはまったわたしのプロボノ体験

業務系ITの切り口で必要な課題解決や成果を出すためには、単にITの部分だけを見れば良いというものではありません。

わたし自身はNPOのヒト・モノ・カネの経営課題をどう乗り越えるかということに興味があったので、元々の得意分野には拘らずに業務設計、マーケティング、ファシリテーション、ライティングなど…その時々で必要と感じたエッセンスを学び取り入れてきました。必然的に、いつの間にかITスキルを活かすボランティアという範疇を超えて、NPOの経営や事業づくりに関わるようになってきました。(理事を務めているNPOで、一緒に走って悩んでいます)

個人的に自分自身が沼の深みにはまっていくことそのものは面白いから続けてきたのですが、当たり前ですがそんな関わり方は相当に縁の深い団体としかできません。つまり、NPOへの参加の仕方として一般化はできないということです。

自分自身の活動と並行してプロボノ活動に関心のある社会人の方々と交流を持ってきましたが、多くは「そこまではできない」「自分のやりたい関わり方ではなさそうだ」とプロボノ参加を終える、プロボノ参加の失敗体験とも呼ぶべき体験が少なからず起こっており、そのことはとても残念に思います。

非営利組織のIT支援は難しい

どんな取り組みにも苦労や失敗はつきものですが、とりわけ業務系IT分野の取り組みには構造的な難しさがあるように思えます。

ITプロボノとの協力関係が成就しないケースの背景にはプロボノ参加者の興味関心・スキルとの不一致、外部人材を受け入れる窓口であり団体内部との調整役となるスタッフ(職員であることも、代表者であることも)の負担の大きさなど、様々な要因がありますが、根源的には団体の経営状況(ヒト・モノ・カネ)とフィットした適切な課題特定と解決策設定ができるかどうかにかかっています。

これはプロボノ個人のITスキルでは対応できない部分です。団体が持つ課題解決スキルに成否が委ねられていることが、プロボノという関わり方が非営利組織に広がらない原因なのではないかと捉えています。

プロボノ的な参加の形をつくるコーディネートの力が必要

NPOなどの非営利組織にとって、業務系ITの課題解決に取り組むならばノウハウを持つ事業者やNPO支援者に依頼するほうが多くの場合は適切です。

ですが、業務として切り出すまでもない細かな課題、「こうしたらもっと便利になる、日々の業務が楽になるけど、スタッフの手が回らない」という内容もあるでしょう。これらの業務課題があることに気づき、それを解決する手段があることに気づき、市民参加のコーディネートができる力こそがNPOには必要なのではないでしょうか。

多くのNPOは――小さくとも良い活動をし、地域・社会に必要とされている団体は――多様な参加の形でもって活動への協力の輪を広げています。

それとやることは変わりません。ITを切り口に力を発揮できる人を市民の中からきちんと発見し、掬い上げ、仲間を増やすことです。

「得意やスキルを活かして地域やNPOなどに関わりたい」という動機を持つ人は一定のボリュームでいらっしゃいます。

これから考えていきたいこと

では、どうしたらより多くのNPOにプロボノ的な参加の方法が広がっていくのだろう?

ということを、考えていきたいです。同じような問題意識を持たれている方、ぜひお話しましょう。一緒に考えられると嬉しいです。

 - 考えたこと