「関心の距離」を越えるために~NPOのプラットフォームから考えた情報発信の話~
2016/03/11
2月最後の金曜夜は、第2回のNPO×IT Meetupでした。
今日はこの辺の話を受けて考えた、ソーシャルセクターの情報発信とプラットフォームのお話を。
NPOの情報発信といえば、伝えたいメッセージの質は大きく分けて2種類に分かれます。
・コミュニティとの関係づくりのために団体の活動内容やメッセージを発信すること
・アドボカシー活動として、社会に向けて課題の認知・理念への共感を呼ぶためのメッセージを発すること
今回は後者のアドボカシーについてのお話です。
*参考:アドボガシーって何?
→国際協力団体プラン・ジャパンさんのアドボガシーのページ
「Because I am a Girl」、「国際女性デー」など、見たことありませんか?
NPOがプラットフォームを持つメリットについて
第2回NPO・IT Meetupの目玉のひとつは、世にも珍しいNPOの専従職員プログラマ、リディラバ松本さんによるライトニングトークでした。テーマはプラットフォームを持つことの意義について。
FacebookやPeatixなど、情報発信のための(巨大な)プラットフォームが今はすごく充実しています。こういったプラットフォームサービスを利用するだけで情報発信には事足りるものの、その中であえて団体独自の情報発信プラットフォームを持つことの意義を、(ご本人いわく)エモーショナルに語ってくださいました。
独自プラットフォームの強み、それは
- 既存のプラットフォームを使うと、その他大勢になってしまう。一方で独自プラットフォームはブランドになる
- 独自のリアクションボタン(いいねボタンのようなもの)を設置することで、プラットフォームの目的に沿ったコミュニケーションをデザインできる
とのこと。なるほどなー。
必ずしも1団体が1プラットフォームを持つ必要はなくて、独自色を持ったプラットフォームに共感する団体が集まり、色々な情報がプラットフォームに集積されるような青写真が描けたらすごく素敵だなーと妄想しながら、お話を聞きました。
そういえば「プラットフォーム」の定義って何なんだろう?と思いググってみたのですが、新しい概念だけあって「これ!」という定義が定まっているわけではないようですね。
(ググって出てくるのはIT開発環境としてのプラットフォームの情報ばかり)
「関心の距離」を越えるために
NPOの情報発信の課題のひとつに、「関心の距離感」があると思っています。
地域で行う活動はどんなにいい情報を発信していても、他の地域の人に届きにくい。これは活動の特性によるものなので、運営努力では如何ともしがたい部分です。
しかし地域で丁寧に進めている活動だからこそ持っている価値があるわけで。
こういった事情を考えてみると、ソーシャルセクターに必要とされているプラットフォームって何なんでしょうね。
「様々な情報源から発信された記事をひとまとめにして、より多くの人に届ける」役目ではなかろうか、と私は思いました。
同じ方向を向きながら各地で活動している団体の情報を一か所に集めることで、「社会課題」総体としての存在感を増し、集積のメリットを提供することが「プラットフォーム」が世の中のNPO活動をエンパワメントできる手段なんだろうなあ、と。
面白かったトーク抜粋
そんなことをつらつらと考えながら、松本さんのLTを受けて盛り上がったNPO×ITの話題を一部抜粋でお届けします。
プラットフォームを持つのに必要なことは、質のいいコンテンツを定期的に生み出す力
→結局、発信できる人がいなければベースを作っても枯れてしまうのが難しい。ですよねー、という話。
技術者を抱えるコストを払える組織体力
→組織にとってある意味でコストセンターともなりえる技術者を抱える覚悟が必要。なぜならプラットフォームは作って終わりではなく、常に改善を続けていくことが必要だから。
ボランティアベースではどんなに気持ちがあったとしてもコミットできる時間に限りがあり、力のあるプラットフォームを支えるには役不足。
フルタイムスタッフではなく、週2日、3日の契約とかでもいいので、継続して関わる技術者が必要だよね、という話。
プラットフォームを抱える団体は、他の団体を巻き込み、自分たちが先陣を切るスタンスが必要!
→ひとつの団体だけでプラットフォームを抱えるのは高コストすぎる。という話から、むしろ幅広い人や活動、業界を巻き込んでいく姿勢こそプラットフォームを盛り上げていく要素だという話。共通する課題を見つけ、コラボレーションを生むことこそ「プラットフォーム」ができることなのかもしれません。
次回のNPO×IT Meetupは~?
そんな感じで今回も大変面白かったNPO×IT Meetup、次回は3/25(金)開催です。お花見です。
ご興味があればぜひこちらからどうぞ!